10月7日、令和元年度決算を審査する総務企画消防委員会を開催しました。
審議の結果、委員会に付託された令和元年度一般会計、サイクリングターミナル事業特別会計、ケーブルネットワーク事業特別会計の決算について、原案のとおり認定することを採決しました。
審議の中で、特徴的な意見について報告します。
ふるさとなかつ応援寄付金(ふるさと納税)について、寄付額6,886万円に対して返礼品等の事業費が3,167万円となっています。その内、地元産品の商品代は2,012万円、送料403万円、発送事務委託料513万円等となっています。
国の指導で、返礼品にかかる経費は寄付額の50%以内、商品代は寄付額の30%以内となっており、その条件はクリアーしています。
しかし、寄付額は前年より低下しています。中津市は、18市町村中16位で、1億円に達していません。この制度が始まった当初は、トップレベルの実績でしたが、最近では他市の取り組みに押されて、寄付額が減少傾向にあります。
また、中津市民が他市へ寄付した額は1億1,795万円となっており、約2倍の額が他市へ寄付され、実質的には赤字となっています。令和2年度より、楽天ふるさと納税からも寄付が可能となるよう改善し、ふるさと納税の増額に向けていることが報告されました。
また、UIJターン事業について、市が住宅やインターネット環境を整備し移住・定住を推進する覚悟はあるのかとの質疑に対して、市が住宅まで確保するのは難しい。移住者希望者に既存住宅を活用して住んでいただきたいとの答弁がありました。
全国の自治体が移住・定住促進のために、いろんな優遇措置を講じている中で、他市にはない独自の施策を実施する必要があると考えます。
耶馬渓町柿坂にあるサイクリングターミナルについて、昨年度建物の耐震調査を実施したがその結果はとの質疑に対して、建物の両サイドの宿泊等は耐震基準をクリアーしているが、管理棟部分の耐震強度が不足して基準をクリアーしていないとの答弁がありました。
管理棟をこのまま利用するのは危険であり、耶馬渓公民館の複合施設としての建て替え計画の中で検討をすべき。また、宿泊棟はきれいに保たれており、管理人なしの素泊まりの宿泊施設としての活用を検討すべきと指摘しました。
また、市の財政状況について、委員長を交代して私から質問を行いました。
経常収支比率が98.7%となっているが、2.1ポイント上昇した理由とR2年度の見込みはとの質疑に対して、増加した要因のうち、歳入においては交付税等の減少、歳出においては扶助費、公債費の増による影響が主なもので、また、見込みについては、税収等の今年度決算見込みが不明なため、現時点では試算できないとの答弁がありました。
また、実質収支は黒字となっているが、単年度収支、実質単年度収支は赤字となっている。基金取り崩し額も年々増加しており、市の財政は大丈夫か。との質疑に対して、社会保障経費の増加、コロナ禍による税収減等により、厳しい財政状況が続くと予想される。との答弁がありました。
監査委員が提出した決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率審査意見書について、「健全化判断比率及び資金不足比率は早期健全化基準及び経営健全化基準を下回っており、いづれも健全性を確保していると認めた。」と記載されているが、杵築市の例をもって、この指標をもって財政状況の健全性を担保できると考えているのかとの質疑に対して、
健全化判断比率の審査意見にあたり、令和元年度中津市決算に基づく健全化判断比率について財政課からの説明を受け、その内容を審査した結果、国の定める早期健全化基準及び経営健全化基準を下回っていましたので「いづれも健全性を確保していると認めた。」と意見しました。なお、この健全化判断比率だけを持って中津市の財政状況を思慮することはできないところです。
ほかに中津市の財政状況をはかる指標の一部を挙げますと、数値が「1」に近いほど、財源に余裕があるとされている財政力指数は前年度に比べ0.01ポイント上昇し0.51、また、財政構造の弾力性を示し75%程度が妥当であり、100%に近いほど硬直化となる経常収支比率は、地方交付税の減少等により前年度に比べ2.1ポイント上昇し98.7%となり、財政の硬直化が進んでいます。このような状況から依然として厳しい状況にあることが伺え、さらなる財政構造の改善に向けた取組みが必要であると考えています。
執行部に対して、この厳しい財政状況を踏まえて、監査委員の指摘を踏まえた慎重な財政執行を実施するよう求めました。