7月29日から31日の3日間、議会運営委員会の先進地視察で堺市、大東市、八尾市、木津川市議会の現地調査に行ってきました。
今回の視察のテーマは、以下の6点です。
◎議会改革の取り組みについて
①委員会における所管事務調査の状況について
②議会図書室の有効活用について
③参考人制度及び公聴会制度を活用した回数と内容について
④常任委員会のインターネット中継について
⑤行政評価システムにかかる議会の関わりについて
⑥執行部質問権(反問権)の運用における検討内容及び実施状況について
各議会の特長的な内容と成果について、報告します。
【堺市議会の取り組み】
①議会図書室の書籍が充実しており、臨時の司書を配置している。庁内には他の図書室はなく、職員もこの図書室を利用している。
中津市では、4階に行政用の図書室と情報公開用の情報コーナー、5階に議会図書室があり、書籍等が分散配置されている。また、同じ雑誌を購入しており経費の無駄となっている。
②委員会におけるインターネット中継については、費用対効果を検証するため、職員と一般市民のアクセス数を別々にカウントできるようにしている。アクセス数は年々増加傾向にある。委員会の議事録は全文記録、議運は要約記録としている。導入経費として2ヶ所のカメラ映像システム12495千円、インターネット中継業務(本会議、委員会、5年間の債務負担)14900千円となっており、当初の導入経費をいかに確保するかが課題と言えます。
【成果】
①個人では定期購入できない雑誌や行政資料が議会図書室で一元管理されている。中津市においても図書室、情報コーナーを一元化し、雑誌や行政資料を議会図書室で閲覧できるようにすべきと考えます。また、各課で購入している雑誌等も収集し、一元化すべきと考えます。
②常任委員会のインターネット中継は、開かれた議会とするため実施を検討すべきと考えます。
【大東市議会の取り組み】
①反問権について、一般質問では議会基本条例制定の平成22年と23年、委員会では28年に実施されているがそれ以外には実績がない。執行部の認識が低くかつようされていない。22年には反問権の実施にあたり事前に打ち合わせがあったかもしれないが、出来レースとなってしまう恐れがあるため質問内容を聞くようなことはしていないと思う。28年の委員会の反問権は、質疑のやり取りの中で感情的になり執行部が反問してしまったと考えられる。
②常任委員会のネット中継については、庁内に流しているが、かなり突っ込んだ議論となるため個人情報保護の関係で外部には配信していない。
③政務活動費の通信費の按分率100%は、全てを議会活動として使用しているわけではないので見直しが必要です。裁判で訴えられると敗訴する可能性が高い。実態として、按分率をもっと下げて請求がおこなわれている。市内旅費については、行政区域が狭いので支給対象となっていないが、市域が広ければ政務活動にかかる分は支給しても良いのではないか。
④通年議会を実施しているが、通常の4回の定例会以外に専決処分をしないために臨時に本会議が入る程度で負担増となっていない。
【成果】
①反問権制度については、議員の考え方を示した上で執行部の考え方を質すという形にすれば導入の必要性は少ないと考えます。
②常任委員会のネット中継については、常任委員会に出席できない職員のためにまずは庁内だけに流すことを検討し、その状況を見て外部に発信するかどうかを検討してはどうかと考えます。
③政務活動費の通信費については、利用頻度の実態把握が難しいため政務活動費の対象とするのは難しいと考えます。月2万円の政務活動費では支給も困難と考えます。
④通年議会の実施については、専決処分をさせないためにも導入が必要と考えます。
【八尾市議会の取り組み】
①委員会における所管事務調査については、毎年テーマを決めて調査研究討論を行って上で執行部に提言を行い、4年目に執行部に進捗状況の報告を求めています。新たな施策の実施だけでなく、制度や施設の廃止も含めてテーマとして設定している。
②参考人制度として、自然災害発生時の対応要領策定時に大学教授を招致している。
③常任委員会のインターネット中継(生中継はなく、録画のみ)を平成22年9月議会より実施している。カメラ等は既設のものを使用し、録画したものを業者に送っている。サーバー使用料等で年間50万円の経費がかかっている。平成29年よりスマホでも見れるように改善している。つきに4〜5000人のアクセスがある。用語検索もできるようになっている。
④行政評価は執行部が実施し、その結果は議会に提出されているが、決算、予算審査に活用ができていない。
⑤反問権の制度はないが、反市長サイドの議員に対し執行部のいやがらせで反問権を使用されると困る。
【成果】
①所管事務調査については、常任委員会ごとに年度当初にテーマを設定し、積極的に政策提言を行っていく必要がると考えます。
②常任委員会のインターネット中継については、実施に向けて検討すべきと考えます。また、用語検索ができるように現行システムの見直す必要があります。
③中津市においても行政評価システムを導入し、予算、決算審査に活用する必要があると考えます。
④反問権制度については、議員の考え方を示した上で執行部の考え方を質すという形にすれば導入の必要性は少ないと考えます。
【木津川市議会の取り組み】
①反問権については、平成30年1回、令和元年6月に実施され、その権利は市長、教育長のみとしている。議員の答弁時間は持ち時間35分には入らない。反問する内容についての事前の質問調整は行われていない。
②委員会のインターネット中継については、音声のみライブ中継しているが録音放送は実施していない。
③試験的に本会議・常任委員会へのパソコンの持ち込みを許可している。決算審査等で過去の予算議案等をすぐに見られるように希望する議員に認めている。
④一般質問は持ち時間制とし35分間、代表質問は会派ごとに25分間+5分間×会派人数としている。
⑤公聴会では、テーマ(ごみの有料化等)に反対意見の参考人の出席は多いが、賛成意見の参加が少ないケースがあり、議員が賛成者に声掛けをして参考人として参加して頂いたこともあった。
【成果】
①反問権制度については、議員の考え方を示した上で執行部の考え方を質すという形にすれば導入の必要性は少ないと考えます。
②常任委員会のネット中継については、常任委員会に出席できない職員のためにまずは庁内だけに流すことを検討し、その状況を見て外部に発信するかどうかを検討してはどうかと考えます。
③本会議・常任委員会へのパソコンの持ち込みについて、条例や過去の予算議案等をすぐに見られるように希望する議員に認めても良いのではと考えます。