活動報告
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2017/11/13:議会運営委員会現地視察(長崎県壱岐市)
議会運営委員会現地視察(長崎県壱岐市)

 11月13日、議会運営委員会の視察で、壱岐市のペーパーレス議会の現地調査を行いました。
 今回の視察は、壱岐市議会のタブレット端末の導入によるペーパーレス議会の取り組みを現地調査し、中津市におけるタブレット端末の導入の是非を検討することを目的とするものです。

議会運営委員会現地視察(長崎県壱岐市)

 壱岐市議会では、タブレット端末の導入について検討するため、平成27年1月に議員有志による「壱岐市議会ICT導入検討委員会」が発足。
 「①議案書や市が作成する計画書など、議会招集通知を含む案内文書全てのペーパーレス化及び議案書印刷に係る経費削減」、「②議案書作成にかかる職員の労力削減」、「③議会運営(本会議及び委員会等)及び審議の効率化」の3つのテーマを検証した結果、早急にタブレット端末を導入し、執行部と一体的に運用するべきとの判断から、平成27年6月30日議員発議により「ICT推進特別委員会」を設置。
 平成28年6月会議までに90%以上のペーパーレス化実現を目標に掲げ、タブレット端末と文書共有システムを平成27年度中の早期に導入するため、「タブレット端末ICT推進セミナー」や先進地である嘉麻市議会(福岡県)を訪問する等、積極的に研修を行った。
 平成27年11月、アップル社製タブレット端末「iPad Air2」及び文書共有システム「SideBooks(サイドブックス)」を同時に導入し、平成27年12月会議から議案の閲覧を開始した。
 そして、平成28年6月会議からタブレット端末による「ペーパーレス議会」を本格的にスタートさせ、以下を実現。
① 議会に係る行政文書のペーパーレス化90%以上の実現
② 紙による議案書等の配付を全て廃止
③ 会議録の議員への配付廃止
④ 加除式例規集の議員への貸与廃止
⑤ 郵送等による議員への会議通知及び事務連絡廃止

≪ システムの概要 ≫
◆タブレット端末;IPAD Air2 LTEモデル(64GB)42台
◆通信キャリア;NTTドコモ
◆文書共有システム;東京インタープレイ社のSideBooks
◆環境整備;議場及び議員控室にWi-Fi構築工事を実施(約70万円)
◆初期費用;約340万円
◆費用の月額;タブレット約20万円 文書共有システム32,400円
◆費用の年額;約273万円

≪ 導入の効果 ≫
1  コスト削減
◆ 印刷費(コピー代:モノクロ・カラー、メンテナンス)
◆ 用紙代・消耗品費(トナー、ホチキス、修正テープ等)
◆ 郵便料、宅配料
◆ 保管費(ファイル代等)
◆ 廃棄物処理費

2  行政事務の効率化
◆ 職員の労務軽減(議案配付、差し替え事務など)
◆ 資料保管スペースの圧縮
◆ 事務連絡の効率化、簡素化が図られた

3  議案審議活性化、議員の利便性向上
◆ 会議時間の短縮
◆ 議案資料のカラー化、写真や動画、インターネットの活用
◆ スケジュール管理及び情報の共有化
◆ 議員活動としての活用(市民への説明など)

《メリット》
 ◦ 印刷コスト、配布コスト、手間の削減
 ◦ 会議の運用省力化、効率化
 ◦ 議会での意思決定のスピードアップ
 ◦ 議会の紙資料の収集、配布、差し替えの手間が削減
 ◦ 写真、カラー電子会議資料による視認性の向上
 ◦ 議会運営も効率的
 ◦ 緊急性を要する事案(災害時等)の情報共有のスピードアップ化

《デメリット》
 ◦ 資料の比較がしにくい
 ◦ システム障害が起きるとデータアクセスできなくなる

《今後に向けて》
 何もかも闇雲にデータ化して紙を減らせばいいのかというとそうではない。
 データ化は原紙が不要、データよりも紙で残すべきもの、データと紙のどちらも保管しておくべき書類など、事前に分類することが重要。
 全てをデータ化した後で管理しきれなくなるといった事態に陥らないように、何事も、あらかじめ準備をしっかりと行ったうえで取り組むことが成功の条件だといえる。
 また、タブレット内の共有データを、各議員が加工したり、印刷したりすることが出来ず、印刷が必要な場合は、議会事務局に依頼しなければならないなど、利用制限の解消が課題ということであった。そのため、導入の目的の一つであった、市政報告会等でのパワーポイントヘの利用ができていない。因みに通信料は、公費負担。

議会運営委員会現地視察(長崎県壱岐市)

 今回の現地調査を踏まえ、
 中津市議会での導入にあたっては、議員活動に自由に活用できるよう、通信料の一部を個人負担して、利用制限を極力かけないような使用規定を検討する必要がある。
 経費の節減や行政事務の効率化など多くの利点が見られ、課題が整理できれば、タブレットを導入すべきと考える。
 またその実現のためには議会事務局と共に実務にあたるICT推進担当部署の設置が望まれる。
 実際、壱岐市、その他導入済みの自治体においても、どの機器が適切であるか、或いは業者が提供する種々のサービスの必要性についてなど、細かなところで苦慮されたようです。
 これらは相当の専門性を要する判断であり、運用と経費に直接かかわってくることになります。業者ペースではなく自治体が主体的・主導的にシステム構築の指示をしていくことが必要です。
タブレットの導入を検討するにあたって特別委員会等を設置し、研修等を踏まえた導入の是非を決定した上で、タブレット端末、通信キャリア等の選定、十分な議論が必要。
 議場、会派の部屋にWifiを設置し、通信機能の安全性を高める必要がある。
等の課題が明らかとなりました。