活動報告
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2016/07/14:企業誘致及び地域活性化研究会視察(久留米市役所、ダイハツ九州㈱久留米工場)

 7月14日(木)~15日(金)、議員有志で結成した企業誘致及び地域活性化研究会で、久留米市の企業誘致戦略、ダイハツ九州㈱久留米工場のエンジン製造工程の現地調査の視察に行ってきました。

企業誘致及び地域活性化研究会視察(久留米市役所、ダイハツ九州㈱久留米工場)

1.久留米市の企業誘致戦略
【市の概要】
 久留米市は、九州の北部、福岡県南西部に位置し、九州の中心都市である福岡市から約40㎞の距離にあります。市域は東西32.27㎞、南北15.99㎞と東西に長い形状を示し、行政面積は229.96㎢、人口は約306,020人です。
 また、県南部の中核都市で、九州自動車道と大分・長崎自動車道のクロスポイントにも近く、国道3号ほか5つの国道が通っており交通の要衝となっています。

【企業誘致を取り巻く環境】
 平成20年のリーマンショック以降、福岡県内の工場立地動向は回復していません。また、海外現地生産を行う企業(製造業)の割合は平成32年度の見通しでは今後も低下が続くものの、海外現地生産比率は上昇する見通しとなっています。

【今後重点的に取り組む産業分野】
 久留米市では、自動車関連分野、バイオ・医療関連分野、食品関連分野などの製造業と情報処理・提供サービス、コールセンター、医療・福祉サービスなどのサービス業に注目しています。また、立地企業の訪問、企業立地セミナーを毎年実施。(H26福岡市、H27大阪市)

【今後の企業誘致の展開】
①新たな産業拠点の整備
・福岡県が久留米市・うきは市に約33haの企業団地を造成予定。(H28~33年度)
・うきは市と久留米市にまたがる土地だったので、県が開発を行うようになったのではないか。県の方が農業振興地域の除外をしやすいといった利点がある。
②産業団地への誘致活動
③オフィス誘致
 ・中心市街地等へのオフィス誘致(コールセンターなど)
④本社機能移転・拡充
⑤民間物件の活用
・企業誘致の受け皿として、オフィス等の民有物件の活用を図る。
・市を通していくつかの不動産屋に物件のあっせんを依頼し、リストを進出予定企業に提示して、企業と不動産屋が契約を行うシステム(2件成約)

【その他】
・企業誘致担当職員は6名(東京事務所の職員2名+現地採用職員2名を含む)
・県からの企業紹介もあるが、市独自で誘致活動を展開している。
・企業誘致戦略は以前策定していたが、改定はしていない。
・企業誘致の用地取得は、民家がなく、一定規模の面積が確保できるところ、アクセスの良いところを選定しており、農地の開発が主である。

企業誘致及び地域活性化研究会視察(久留米市役所、ダイハツ九州㈱久留米工場)

2.ダイハツ九州㈱久留米工場のエンジン製造工程の現地調査
【工場の概況】
 久留米工場は、大分(中津)第2工場などで培ったSSC(シンプル・スリム・コンパクト)化のノウハウの活用などにより、工場容積・設備投資などを大幅に削減し、省エネルギーなどの環境への配慮と高い生産性を実現する「軽自動車のエンジン生産に最適SSC”な工場」として、グローバルに通用する低コスト・高品質なエンジン生産のモデル工場です。
 久留米工場の稼動により、大分(中津)工場での軽自動車生産の拡大に伴うエンジン供給の効率化(輸送リードタイムの短縮、物流コストの削減)を図るとともに、軽自動車で更なる収益向上が可能なビジネスモデルの確立を目指しています。

【ダイハツ九州(株) 久留米工場の概要】
•所 在 地 :福岡県 久留米市 田主丸町吉本1番地
•用地面積 :約17.4万㎡
•建屋面積 :約1.3万㎡
•設備投資 :約100億円(土地・造成費用除く)
•生産能力 :年産32.4万基(2直定時)
•生産機種 :KF型エンジン(軽自動車用)
•従業員数 :約460名(内女性20名)
•機能概要 :エンジン生産(粗材、加工、組付け)

【久留米市に進出した理由】
 ・久留米市の他市に比べて誘致活動が一生懸命だったこと。
 ・人材の確保が可能である。(中津市では難しいと判断)
 ・当時の副社長が久留米出身

企業誘致及び地域活性化研究会視察(久留米市役所、ダイハツ九州㈱久留米工場)

3.視察の成果
 久留米市は、平成17年2月に北野町・三潴町・城島町・田主丸町を編入合併し、市域が拡大しました。旧久留米市街地に工業団地の確保が難しくなっている中、広大な農地を有する旧4町に工業団地の造成を行い、企業誘致を進めています。中津市では、旧下毛地域は農業振興地域の農用地であること、日田耶馬国定公園エリアに入っているため企業団地の造成が困難として二の足を踏んでいる状況にあります。
 東九州自動車道の三光秣IC付近の農地について、県と連携して工業団地や住宅団地の造成を模索する必要があります。
 また、ダイハツ九州㈱久留米工場を中津市ではなく輸送コストのかかる久留米市に進出した理由として挙げられた、①誘致活動が一生懸命だったこと。②人材の確保が可能である。③当時の副社長が久留米出身だったこと。を真摯に受け止める必要があります。絶好のチャンスを逃がした中津市として、今後の企業誘致にあたっての課題として受け止め、その対策を講じる必要があります。